PRO TREK/SEA-PATHFINDER Q&A 潮汐機能

月の満ち欠けと月齢について

月は約29.53日の周期で満ち欠けを繰り返します。
これは月の公転により、地球と太陽に対する月の位置(月の離角※)が少しずつずれることで、地球から見た「月の影の見え方」が変わるためです。


なお、月の満ち欠けや月相のことを天文用語では「月の盈虚(えいきょ)」と言います。


月齢
は、新月(朔:さく)からの経過時間を日数で表したものです。


月の離角とは、地球から見て太陽の見える方向からの角度です。

 
月の満ち欠け 月の離角 月齢
新月(朔:さく) 0日
上弦 90° 約7日
満月(望:ぼう) 180° 約14日
下弦 270° 約22日
 
【時計での、月齢計算の方法と誤差について】
現在、CASIOの月齢表示機能付き時計には、計算方法の異なる2種類のモデルがあります。
(1) 整数で月齢(たとえば「15」)を表示するモデル
  月齢の周期性を利用し、月齢が0の日を基準として簡易的な計算を行なっています。
  月齢周期の平均は、29.53 日ですが、実際には±1日程度の変動があります。
また月齢を整数で表示しているため、誤差が±2日となることがあります。
 
(2) 少数1桁まで月齢(たとえば、「15.2」)を表示するモデル
  関数計算により太陽と月の座標を計算し、離角の計算を行なっています。
  離角と平均的な月齢の相関関係により月齢を表示します。
月齢周期の平均は、29.53 日ですが、実際には±1日程度の変動がありますので、
誤差が±1日となることがあります。

タイド(潮汐)機能について

一般的に海面は、約6時間ごとに高くなったり、低くなったりする昇降運動を繰り返しています。これは、潮汐(ちょうせき)と呼ばれ、主に月の引力に作用されて起こる現象です。
理論的には、月が頭上に位置(正中)する時に高潮(満潮)になり、その約6時間後(月が水平線方向に傾いた時)に低潮(干潮)になります。
しかし、実際の地球上では、海水の粘性や摩擦、海底の地形などの影響によって月の正中時より数時間遅れて高潮になります
この時間差を「月潮間隔(高潮間隔)」と呼びます。
【時計での、潮汐計算の方法について】

潮の満ち引きの差が大きい時を大潮、小さい時を小潮といいます。
通常、新月(月齢0)や満月(月齢15日前後)の頃に大潮となり、 上弦の月(月齢7日前後)、下弦の月(月齢22日前後)の頃に小潮となります。


本来、潮汐を計算し予測するには、非常に複雑な計算を行わなければなりません。
しかも、非常に複雑な計算を行なった結果でも、実際の潮汐と1時間以上もずれてしまう ことがあります。潮汐現象はそれほど複雑で、正確に予測することが困難なものなのです。


潮汐現象を正確に予測することは困難ですが、人間は昔から月と潮汐現象には密接な関係がある事を 知り、経験でおおよその傾向を把握してきました。
たとえば、 関東近海の例では、大潮(新月、満月の前後)の頃は朝と夕方の頃に満潮になり、正午と深夜0時の頃に 干潮になります。
逆に小潮(上弦、下弦の月の前後)の頃は、朝と夕方の頃に干潮になり、正午と深夜0時の頃に満潮になります。
そして、1日で約50分ずつ満潮(や干潮)時刻がずれていきます。

満潮時刻や干潮時刻を”何時何分”のようにぴったり予測する事は困難でも、このような おおよその予測は比較的容易にできます。


時計における潮汐計算は、この程度の簡易計算であるとご理解ください。


時計では、月齢と場所データを元に、その場所における月の正中時を概算し、時計に入力された 月潮間隔(高潮間隔)を元に、平均的なタイドグラフを表示しています。


平均的なタイドグラフとは、満潮から次の満潮までの周期を約12時間25分とし、その中間に干潮に なるということを前提にしたものです。

【時計での、潮汐計算の誤差について】

時計におけるタイドグラフと実際の潮汐との誤差について言及するには、もう少し実際の潮汐現象について知る必要があります。


一般的に潮汐現象がはっきり現れる地域は、満潮(高潮)と干潮(低潮)が 約6時間交互に繰り返されます。

しかし、地域によっては、満潮(高潮)と干潮(低潮)の間の時間が不規則であったり、
通常1日に2回ずつある満潮(高潮)と干潮(低潮)が1回しか ない事があります。

このような潮汐現象が規則正しく起こらないことを日潮不等 といい、日潮不等が大きいほど潮汐は不規則になります。
たとえば、日本海は日潮不等が特に大きく、干満の差がほとんど無い為、潮汐の予測が非常に 難しくなります。
また、同じ場所でも、季節により日潮不等が変化します。
このように、実際の潮汐現象は非常に複雑である為、誤差をわかりやすく表現することが できないのが実情です。
日潮不等が大きなるほど誤差が大きく、日潮不等が小さいほど誤差が小さいということになります。


このような事情がある為、時計のタイドグラフ機能は、あくまでも参考程度にしてください。
危険を左右する潮汐の判断材料には決して使用しないでください。また、航海には必ず海上保安庁刊行の潮汐表を使用してください。

【月潮間隔(高潮間隔)を調べる方法】

時計のタイドグラフ機能を使用するには、使用する場所の月潮間隔(高潮間隔)を入力する必要があります。
もし、お手元に各国の水路機関(日本では、海上保安庁水路部)が発行する「潮汐表」があれば掲載されていますが、無い場合、他で予測された潮汐データや実際に観測した潮汐をもとに推測します。

月潮間隔(高潮間隔)は、月の正中時と満潮(高潮)時間とのずれの時間です。


たとえば、


ある日の月の正中時が、午後 1:10
その直後の満潮(高潮)時が、午後 6:30
であれば、月潮間隔(高潮間隔)は、「午後 6:30」-「午後 1:10」で、5時間20分となります。


しかし、上記の「潮汐計算の誤差について」で述べたように、日潮不等が大きい日のデータを元にするより、 日潮不等が小さい日のデータを元に計算した方がより正確な値を求めることができます。
具体的には、小潮(上弦、下弦の月)の日よりも大潮(新月、満月) の日、同じ大潮(新月、満月)でも3月や9月の大潮(新月、満月)の日のデータを元するともっとも正確に月潮間隔(高潮間隔)を求める事ができます。


インターネットの普及により、世界各地の潮汐データを調べる事が比較的簡単にできるように なりました。日本では「潮汐予測」「潮汐予報」「潮汐計算」、海外では「Tide Prediction」「Tide Predictor」等の用語で検索するとかなりのオンラン潮汐予測サイトを見つけることができます。


また、月の正中時は、時計によっては、月の正中時を計算し表示する機能が付いています。
もし暦表で月の出と月の入りの時間がわかれば、その中間が正中時となります。
どうしても、調べられない場合、少々乱暴な方法ですが、新月や満月の日は、0時頃(深夜)と12時頃(正午)が月の正中時となります。(注:より厳密には、標準時の子午線との経度の差やサーマータイム有無の考慮も必要です。)


これらの情報を活用することで、ご使用になる場所の月潮間隔(高潮間隔)を推算することが可能になります。
正確な月潮間隔に関しては、月潮間隔情報を発信している機関にお問い合わせ下さい。